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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第3章 初夜。

 言いかけた美奈恵に剛史が少し声を高くした。
「嘘じゃない」
 その剣幕に少し気圧され、美奈恵は口ごもった。
「全然、知らなかった」
 剛史がまた小さく笑った。さっきより、もっと淋しそうな、消えてしまいそうな笑顔だ。
「それこそ、俺らが初めて知り合った幼稚園の頃からのことさ。そのときにはもう妹が生まれて、両親の仲はこれ以上はないというほど冷え切ってた。今ではお互いに口をきかないどころか、眼を合わせようともしない」

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