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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第5章 別離、それとも~切な過ぎる夜に~

 だが、と、ここで冷静なもう一人の自分が告げる。
 自分たちの関係に所詮、未来もひと欠片の希望もない。〝契約〟が終われば、別れが待っているだけ。残る現実は、結婚式の三日前に花婿に逃げられた花嫁と代役の花婿として雇われたレンタル彼氏なのだ。
 美奈恵がとりとめもない物想いに耽っていると、剛史がめざとく感じ取ったようだ。
「美奈、何を考えてるんだ?」
 逞しい彼の腕という檻の中に閉じ込められ、美奈恵は淡く微笑んだ。

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