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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第5章 別離、それとも~切な過ぎる夜に~

 二人はしじまの中でしばし見つめ合った。視線と視線が宙でもつれ、また離れる。刹那、美奈恵には視線が交わった場所に蒼白い焔が見えたような気がした。
 やがて静かに剛史の唇が降りてきた。美奈恵は今度は心からそれを受け止めた。
「こういうときは瞳を閉じて」
 剛史が笑いながら言うと、熱く濡れた吐息が首筋をくすぐる。
「剛史、くすぐったい」
 美奈恵がまた僅かに身体をひねるのに、剛史がひそやかな笑い声を立てた。

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