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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第5章 別離、それとも~切な過ぎる夜に~

 離婚届は予め、二人の署名も済ませ必要事項はすべて記入していた。もちろん、挙式前に書いたものだ。そのときはまだ剛史とこんな関係になるとは想像だにしていなかった。
「ありがとう。二度と逢うこともないと思うけど、元気でね」
 美奈恵は彼に背を向けた。とうとう彼はひと言も言わなかった。新幹線に乗ってからの皆恵の態度はあまりにも不自然だった。鋭い彼が美奈恵の変化に気づいていないはずはなかった。

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