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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第5章 別離、それとも~切な過ぎる夜に~

 十月初めの澄んだ空気に道端の一輪の秋桜が揺れている。周囲がアスファルトだらけの中、わずかな土が残された一角から自生した小さな花は存外に強い生命力を見せつけるかのようでもある。たった一本の秋桜の薄紅色の花びらが秋の陽を弾いていた。
 次第に透明度を増してゆく初秋の光が小さなイルカの抱いたダイヤを煌めかせ、美奈恵はそのまばゆい光に眼を細めた。

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