テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

「ありがとな。
 “勝利のけんちん汁”効果
 バッチリ出てるぞ!
 練習試合とは言え
 相手は前回の県大会優勝校。
 その相手に七回裏で五点リードだ。」

「林田先生の指導の賜物でしょ?」

「お前さ、もし時間があるなら
 図書館の方、手伝ってやってくんね?
 化石みたいになってるガラクタが
 山積みになっててさ。
 松井先生と久保先生で
 頑張ってはくれてるんだろうけど
 絶対手ぇ 足りてねーと思う」

「はい。分かりました。」

「悪ぃな。
 俺も頼まれたんだけど
 今、それどころじゃねーから 
 …たなかぁっ!!ひろぇーっ!!」

「じゃ 失礼します。」

「おう!
 ごちそうさん。
 よしっ!いいぞ、たなかっ!」

林田先生は高校、大学で世話になった。
…世話した?って言う方が正しいか。
先輩の飯と洗濯は俺がやってたからな。
林田先生に彼女が出来た時、
変な疑いをかけられて困ったっけ。
俺に彼女ができて、疑いは晴れたが。

その彼女とは
一年で別れたんだよな。

……。


鍋や食器を片付け、
俺は図書館に向かった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ