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「再会」と呼べる「出会い」

第6章 気持ちの変化

「え」


優司くんのお母さんって…
この間行った時、
風邪で寝込んでたって…


にゅ…入院?!

こじらせたのかな


…栄養とれて、なかったから?



「検査したら腫瘍が見つかってさ」



…?????


「悪性かどうか、今調べてて」




シュヨウ…??

そこから想像出来ること、
テレビや家族の会話からの
僅かな知識で導き出せるのは




「ガンだったら…どうしよ…」



そう言った優司くんの表情が
苦悶に歪む。





え 
どうしよ

どうしたらいいの?


こんな時、なんて声かけたらいいの?





「病院に行くと
 お袋が聞くんだ。
 …彼女 どうしてる?って」





… 




「また、ミカの作った料理が
 食べたいって…」







「…そんな」




「なぁ、只 
 側にいてくれるだけでいいから…
 ミカ…」



さらにキツく 抱きしめられる。







「…優司くん」











『情』

って 怖い。


さっきまでの

『別れたい』

という意志はあっけなく


『支えてあげたい』


という感情へと変貌する。




あんなにこびりついた

恐怖は…?
不安は…?

優司くんに対する不信は?




それらは全部
心の奥の、
更に奥の方に押し込められてしまった。




強く思っていた筈の事が
いとも簡単にねじ曲げられる。

…何度も 何度も

私は本当に流されやすい。







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