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「…ごめん」　

優司くんが腕を緩める。

「なんか、つい。
　ミカを見ると抱きしめたくなって
　
　ごめんな。

　人目があるところではやめて欲しい
　って、この間言われたのにな。
　
　…こういうところ、
　俺ダメなんだよな」

「…」

「ほんと、今日は会えて良かった。」


優司くんが力無く微笑む。


「ごめんね。
　連絡とれなくて…」


きっと、お母さんの事とか
メールしてくれてたんだよね。

それなのに
私ったら無視を決め込んで…
心が狭かったかも



付き合う事になって　勝手に浮かれて
裏切られたと思って　勝手に傷ついて

…自分の事しか　考えてなかったかも


優司くんの気持ち、
一度も理解しようとしないで

「優司くん、ごめんね」


「いいよ…」




…優司くんだって、
きっとすごく不安だったよね


満開の桜も
風に揺られて、少しずつ花びらが散る。


付き合うってこういう事なんだよね。

自分の事ばかりじゃなく、
ちゃんと相手の気持ちにも
目を向けなくちゃいけない。



優司くん


「ご飯、ちゃんと食べてる？」

「…ま、適当に」


「駄目だよ！
　サッカー頑張れなくなったら
　困るでしょ？

　私、何か作るよ。」


何か作るよ。

優司くんのために。