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「再会」と呼べる「出会い」

第6章 気持ちの変化

前に来た時も思ったけど
優司くんの家には生活感が感じられない。

洗面所に歯ブラシが無いとか…。

洗濯機だけでなく
洗剤とか、カゴも無かったし。


隠す収納、ってやつかしら?

本当にモデルルームみたい。

って言うより
モデルルームより物がない。


… … …





「お母さん、着替えとか、必要なもの
 持って行かなくていいの?」

「多分…それはオヤジが」

「そうなんだ」

お父さんがちゃんとやってくれてるんだ。

「お父さんって
 どんな仕事してるの?」

何気なく聞いてみた。

「…しらねーの?」





「うん」

「…会社経営だよ
 てっきり、ミカも知ってると思った」

へ?

「…知らなかった
 そっか
 それじゃ、お忙しいね。」

「そ 母親も役員だから
 二人で仲良く忙しくしてるよ。」

「そうなんだ」


優司くんのその言い方が
少し気になりはしたけど、
改めて問うようなことはしなかった。

ご両親、それじゃあ本当に忙しいんだ。
会社経営か… 社長さんか

ん?そう言えば…
あれ?優司くんの名字って


“井崎”



… … …


『井崎工業』

という看板を
町のあちこちの工事現場で
見たのを思い出す。




■□■ 第六章 おわり ■□■







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