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「再会」と呼べる「出会い」

第10章 文明の利器

「ミカがアンタといて、
 幸せだとは思えない」

「ミカが なんか言ってたか?」

「いや、俺は只、
 先輩の噂を聞いてしまったんスよ。
 付き合ってる彼女を
 酷い扱いするとかなんとか…
 最初、信じらんなかったんスけど
 …今会って信憑性増しました。」

俺は敢えて、
目を合わせないようにした。 
自分を抑え込む為に。

「いなくなった途端…か
 上手くやってきたつもりだったけど
 ミカも聞いたのか?」

「多分 まだ」

ミカが余計、
危険な目にあう可能性を感じ
俺はミカが知っているとは
言わない方がいいと思った。

「ふーん… 」

優司先輩の吐く煙が
俺の目の前で消える。

「噂は嘘じゃない。
 そうする事で面倒な女と
 別れられると思ったからやってた」

認めやがった。
つーか… 
他に別れる方法は無かったのかよ。

「俺さ 今回は本気なんだわ。
 今までは適当に
 来る者拒まずって感じで
 女と付き合ってたけど
 ミカは違う。
 初めて本気で好きになった。」

「嘘をついてまで
 繋ぎ止めておきたい程ですか?」

「嘘?」

「お袋さん、
 入院なさってるんですって?」

今日、じいちゃんが
井崎さんの奥さんに
仕事を急かされて来たらしい。
病気どころかバリバリに元気で
『ありゃ、女のナリした男だ』
とぼやいていた。

つまりミカが聞いた
『優司くんのお母さん入院してるらしくて』
というのはデタラメだったってことだ。

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