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「再会」と呼べる「出会い」

第12章  イカ祭りの誘惑

「かんちゃんの事なんだけど…
 ちょっと待てない状況に来てるから
 ドラおじさんに
 協力してもらう事にした。」

「ドラ… 月王 か」


月子の父親だ。


「流石に
 月ちゃんには実の父親だもん。
 魂が反応すると思うんだよね。」

「…もっと早く、
 頼めなかったのか?」


なんだろう
心に冷たいものが流れる。

自分の不甲斐なさが 情けなくて…


「みんな 愛の力 
 見たかったからね」


「…」

 


なんか ごめんな




「兄さんの“恋”は兄さんで
 まぁゆっくり、
 頑張ればいいんじゃないの?
 
 今度こそ成就させたいでしょ?」

「… どうかな」


どうだろ 
…何しろ“生徒”だしな



「…俺、応援してるよ。
 行く末を見届けたいと思ってる。
 どんな形でもね。」


「じゃあ
 ちゃんと生きて、見とけよ」

「…生きてる内に見せてよ」


寂しそうな顔すんなよ。
大丈夫 お前は死なないから。

「次朗
 お前は死なないよ」

「…なんか…
 …ダメだなぁ」

「どうした?」

「気持ちが通じ合うと
 離れがたくなるね」

「…お前さ」


なんでそんなに諦めてんだよ。


「魂と身体は別々だから。
 この身体は時間が動き出せば
 その瞬間に朽ちる可能性があるんだ。
 何しろ百年以上使ったからね。
 酷使させまくったし。

 …それに

 この戦いで失う可能性だってある。」

「俺がいる!
 仲間だっているんだ、
 お前は一人じゃないだろ?」

「ふふ…」


次朗は弱く 苦笑した。


「そうだね …いただきます」




大丈夫だ。
お前は 死なない。


*…*…*…*…*…*…*

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