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「再会」と呼べる「出会い」

第1章 苦過ぎた初体験



「…… ちょっと、失礼」


え 

男性はそう言うと
私の後ろ側にまわった。



なにこれ…

暖かいものがジワジワと
腰の辺りに浸透していく。
……手の感触とはまた違う
触られた訳じゃない。

なに?

すごく… 気持ちいい



「…多分、もう大丈夫だ」

男性はそう言って
私から距離を置いてくれた。

「…あ」


あれ?

腰も …アソコも

あれれ??


全然、痛くない



え なんでっ!
あなたは何者?!

ここで初めて、顔を見る。

「あ …ルシオさん」


?!!

私…私今 何言った??!

「?  
 …じゃ お大事に」

男性は疑問符を表情に出した後、
穏やかな微笑を浮かべ去っていった。

優しい目元が印象的な整った顔立ち
勿論会うのは初めてのはず…

たけど 何?
凄く懐かしい…



「ありがとうございました!」

あ…
また、涙が止まらない。

けどこの涙は、さっきのとは違う。


『会えた事が嬉しい』

そういう温かい涙。

身体が 勝手に反応している。
ただ、思考だけが取り残される。 

この感覚はなんだろう…?


私は涙を流したまま
消える背中を眺めていた。



「…生きてる」



? …まただ。
勝手に言葉がこぼれる。

あの人は誰?


また、会える?



バスが来た。
私は何事もなかったかのように
乗り込んだ。


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