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「再会」と呼べる「出会い」

第2章 郵便局を曲がって…



…カランカラーン

「いらっしゃいませ
お好きな席へどうぞ」

【軽食・喫茶 濁天】

変わった名前だと思いながら
私はその店のドアを開けた。


外観は…
壁に黒いタイルがはめ込まれ、
少し怪しげな雰囲気を醸し出している。
しかし窓ガラスの 
色鮮やかなステンドグラスが美しい。

大通りを郵便局の角で曲がり
少し歩くと昔ながらの細い路地がある。
一見どこかの家の私道と勘違いし、
通り過ぎてしまいそうになるが
敢えてそこを行くと開けた道に出る。

しかしその道は
どんなに考えても
どこに繋がっているのか
はっきりしない。

どこにも繋がっていないようだし、
また、
どこにでも繋がっているようでもある。 

もしかして
異世界と繋がっているのだろうか…?

子供の頃に読んだ童話に
そんな話があったなぁ…

私は知らない内に
不思議な世界に迷い込んだのかもしれない。

…そんな錯覚を覚える。


「お客さん初めてですよね?」

「はい、
 こんな所にこんな店があったなんて
 この町に十年近く住んでいるのに
 全くきづかなかった…」

「説明しても、
 なかなか辿り着けないと
 よく苦情を言われます。」

マスターが微笑む。


『ダンディー』

という言葉が似合うようだ。
見た目では、50代過ぎた位だろうか。
部分的な白髪も
整えられた口髭も
立ち居振る舞いも

どこをとっても品がある。

おまけに顔もいい。

若い頃は相当女にモテたのだろう

そういう印象を受ける。


「マスター、
 昔、俳優か何かしてました?」

思い切って聞いてみる。

「いえ、そういうのには縁遠いですね」

「そうですか?すみません
 あんまり素敵だからてっきり…」

「ありがとうございます。
 ご注文はどうします?
 苦手でなければ
 甘い物もお出ししますが…」

「お願いします。
 丁度、甘いものが食べたかった!
 あとコーヒーを…」

「かしこまりました」

店内に、客は私と
あとはカウンターに女性が一人。
女性は年がマスターと同じ位だろうか
パーマをかけた髪を後ろで結んでいる。
赤みがかった髪の毛の色が印象的だ。
こちらも
若い頃は相当男泣かせだっただろう
という印象を受ける。

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