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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

「油断したら
 相手の毒針に
 やられてしまって
 次朗さんが
 進行を止めるため凍らせて
 くれたんですが」

「ごめんな来て早々に…
 今治す」


だから松井先生は
真っ直ぐここに来たのだ。

俺は松井先生の腕に
手をかざした。

「変わった毒だが
 すぐに消せるよ」

「流石です」

そう言うと、
松井先生は園田を見た。

園田は心配そうに
松井先生の腕を
見つめている。


「君が
 関わっていい事じゃないよ」

松井先生が園田に言った。


「何の力も持たない君が
 関わることは
 かえって足手まといになる」

「松井さん
 言い過ぎだよ!
 咲希は松井さんの事が
 心配なだけなのに」

「由芽 いいよ
 分かってるもん
 おばあちゃんにも
 言われたの」

園田は
苦笑して頷いた。


「足手まといに
 なるつもりは
 ありません」

「だったらなるべく
 俺達には
 関わらない方がいい」


言い方は冷たいかも
しれないが、
そう言う、
松井先生の気持ちは
よく分かる。

巻き込みたくない。
傷つけたくないのだ。


関わらない方がいい。

園田も
…そして出来れば佐伯も。



「…いました」

松井先生が呟いた。


「どこ?」

「いたのは
 次朗さんですが」

「松井さん
 ミカ先輩は?!」

「…まだ」

「次朗君が今いる
 場所はどこなの??」

「枯枝町です
 …と言っても
 山の中ですが」


枯枝町
は市の端っこに位置する。
山があり、
主に農村地区になっている。

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