テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

「次朗さん
 探しに行くって」

「そうか分かった
 今松井先生が来たから
 こっちも探してもらう」

「??」

「俺ももう少し手掛かり
 探してみます
 何か分かったら
 連絡します」

「あー頼む」

香田からの通話は切れた。


「何か…?」


状況を把握していない
松井先生が
不思議そうな表情で見る。


「松井先生
 帰って来て早々
 申し訳ないんだが
 佐伯を探してくれないか?」

「佐伯さん?
 …分かりました」




松井先生はポケットから
小さな紙を数枚出し、
それを手の平に乗せた。

自動的に折りたたまれ、
折り鶴の形に変わる。


「次朗さんと
 佐伯さんを探して
 急いで」


それらは一斉に
窓の外へと飛んでいった。

「次朗さんが
 探しに行ったなら
 見つけられると
 思いますけど」


松井先生は
少し考えこんだ。


「…ある意味
 マズいかもしれませんね
 佐伯さんを
 連れて行ったのが
 もし井崎だとしたら」

「…あー

 だな」


井崎は死ぬ。

だから
松井先生は
次朗のことも探させたのだ。



「こっちが先に
 見つけられれば
 いいんですが
 …いっ…」

松井先生が
反射的に左腕を押さえる。


「松井さん
 大丈夫ですか?!」


園田が心配そうに
松井先生に駆け寄った。


診ると、
左腕が黒く腫れていた。
その腕そのものは
冷気で包まれている。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ