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「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

我慢 ってこと?


「…エミ もーいぃ」

優司君が後頭部をかく。

「いいの?
 あんなにミカちゃんのこと
 好きだったのに」

「いいよ もういいんだエミ」

「…」

「終わりだよ もう
 エミ お前の気持ち
 今ならよく分かるよ
 俺も今
 全く同じ気持ちだから」

優司君が私を見る。

優しい目だ。


「ミカはこいつといた方が
 幸せなんだろ?」

そう言って次朗君を見る。


「お前どうやって
 ミカの心を掴んだんだ?
 顔 だけじゃねーよな」

苦笑する優司君に問われた次朗君は

「さーね
 そもそも掴まれたのは俺だし
 生まれた時からね」

「え なんだ
 お前等も幼なじみなのか」

当たらずとも遠からじ、だ。

けど掴まれたって…
…恥ずかしい


「そ
 隣にいて当たり前
 他の奴に取られるなんて
 有り得ないって事だよ」

次朗君の口調は穏やかだけど、
目は、冷たく射抜くように
優司君を見つめている。


「君達は 違うの?」

次朗君が
そうである事を確認するように
二人に問う。

優司君はエミを見た。
エミは目が合うと、
避けるように視線を外した。

「…」


優司君が
エミの手をそっと握る。

「俺には
 そんな権利ねーもん
 こいつには散々
 ひでーことした

 エミ
 ほんとごめんな
 俺どうにかしてた

 お前の事後輩の奴らに
 好きにさせるとか

 人としてねーよな」

優司君の手が
エミの手を離す。 

「身体も気持ちも傷付けて
 俺は最低だった
 …償いきれねぇ

 家の事で精神的に
 かなりやられてはいたけど…
 んなの言い訳に出来ねぇしな」

優司君が辛辣な表情で俯く。


「ゆーくん
 私 怒ってないのよ
 お家の事
 大変だったのは知ってたもん
 私こそごめんね
 結局なんの力にもなれなかった」

「お前はなんも悪くねーよ
 元はと言えば俺が全部
 …ごめん」

「…正直に言えば
 私が好きなのは
 ゆーくんなのにって…
 悲しくはなったけど」

エミの長い睫が
少しずつ濡れていく。

「嫌いにはなれなかった」

「…エミ」

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