テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第19章 廃墟と花嫁

「ほんとよ
 今でも私でゆーくんの
 力になれるならって思ってる
 子供の頃から
 ずっと一緒だったんだもん
 
 …だから
 突き放される方が辛いの
 ゆーくんが
 …触ってくれなくなる方が
 辛いの」




私は
エミのこんな顔を見るのは
初めてだ。

学校の物置小屋で
塩田君や凪野君と一緒だった時
教会の廃屋で
大勢の男の人に囲まれていた時


どちらとも違う

これが
本当のエミの色気


私でも
思わずドキドキしてしまう、
そんなたまらない表情

濡れた瞳は
ただ一人をとらえようと、見つめる。


「エ ミ」



優司君は言葉を返すように
エミを抱きしめた。




「俺達おじゃま虫だね
 この部屋 
 二人に貸してあげるよ
 終わったら出てきて」

そう言う次朗君の片腕が
私を抱き寄せた。

「それに
 ミカが
 これ以上ここにいたら
 嗚咽で二人の雰囲気壊しそう」


そうですよ、
もらい泣きしちゃってますよ。
もう、胸がいっぱいだよ!


「私 二人のこと
 何にも気付けなくって…
 ごめんねっ…  グスッ 」


結局
私は自分の事しか
考えていなかったのだ、
…そう、改めて気付かされた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ