「再会」と呼べる「出会い」
第1章 苦過ぎた初体験
ヤマチャンはサバサバした女の子だ。
男子がふざけて掃除をサボってたりすると
すかさず注意するタイプ。
小学校の時生理がきた女の子が
男子にからかわれて、泣いちゃった時も
「男子はまだガキなのよ。
そんな風にからかってる内は
まだまだ大人にはなれないわよね!」
と一喝し、だまらせた。
だけどその分 憑き物のように
「ヤマイチ可愛くねー」
という心無い言葉が付いてくる。
…ヤマチャンは表では
気にしない素振りだけど
内心すごく気にしてる。
何も、間違ってはいないのに…
「アタシ、可愛くなんてなれないし…」
思った事を、駄目なことは駄目だと、
はっきり言える
ヤマチャンを私は尊敬してる。
ヤマチャンみたいに
私も強くなりたいよ。
「山一先輩お疲れ様です。三井先輩も」
ひょろりと背が高くて、
細くて垂れた目が特徴的な男の子が
昇降口を出てすぐ声をかけてきた。
「ヨッチ バイバイ」
ミッチが手を振った。
「気をつけて帰んなさいよ」
ヤマチャンがお姉さんみたいに声をかける。
「山一先輩も。今日は部活無いんスから
日が暮れる前にちゃんと帰るんスよ。」
「部活はないけど、
一応ハウス見てかなきゃ」
「俺さっき行きました。
乾いてたんで水やりと、
あとほうれん草間引きして
植え直して来ました
多分、もう他は大丈夫だと…」
「さっすがヨッチ!
ありがとね」
にっこりとミッチがお礼を言った。
「植え直しまでしてくれたの?
間引いたのは持って帰っていいのに」
「収穫量増えると
山一先輩、機嫌がいいんで」
「あたしのご機嫌とりなんて
どうでもいいでしょ」
「笑った顔、見たいじゃないっスか」
あれれ… この子、もしかして
「冗談言ってないでさっさと帰んなっ!」
真っ赤になってる…
ヤマチャン、まんざらじゃないんだ…
「また明日」
そう言うと、ヨッチ君(四谷君)は
軽やかにかけて行ってしまった。
「ヤマチャン、十分可愛いよ」
「そうだよねぇ」
「何よ 急にっ!」
真っ赤になってるヤマチャンが
凄く可愛いなと思ったし、
二人がうまく行きますように…とそっと祈る