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「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人

「香田君 出来るだけ良質な土を
 あと隠土先生のお水が必要ね」

鉢は土で満たされ、湿った。

「さぁ エレミム君」

校長先生は目線をエレミムに合わせ、
鉢を差し出した。

「…」

エレミムは校長先生を睨みつけた。

「エレミム
 可能性があるなら
 それに挑戦しないと」

次朗君が鉢を受け取る。

「大切なんだろ、アゼットのことが
 もう一度会いたいんだろ?」


アゼットは
地球に降りたエレミムの、
母親のような役割をしていたらしい。
慣れない地球での生活を、
特に食事のことなどを、
だいぶ助けてくれていたようだ。

ハクアがエレミムを
洗脳しようとしていた時も
守ろうとしてくれていたらしい。

エレミムが自我を失わなかったからこそ、
和解ができたと言える。

「エレミム
 ほら」

私は土の真ん中に人差し指をさして
穴を開けた。
エレミムは握っていた手を開き
そこに種を入れた。

土に包まれた種は、
気のせいかもしれないけど
ベッドに寝かされて気持ち良さそうだった。


エレミムのことは
濁天のマスターが預かることになった。
ここなら月王も来るし、
ダーマさんもすぐ側にいる。

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