テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第20章 見送る人

朝ごはんを終えた頃、
ポケットの携帯電話が鳴った。

見に覚えのない番号。

「はい」

「…ミカ? …えっと…」

聞き覚えのない男の人の声。
でもその声は凄く優しくて、落ち着く。

「…」
「あーっもう ミカ?!」

「えリョウ君? おはよ」

言葉を待っていても
なかなか出てこなくて、
何故かリョウ君に代わった。

「今すぐ学校に向かって来い
 こっちも行くから!」

「え 」


良く分からないけど、
絶対に行かなきゃって思った。

「ミカ?どこに行くの?」
「学校!」

私は靴をはき、飛び出した。


走る 走る


バスで登校する道を私はひたすら走った。

ハァ ハァ…


せめて自転車で来れば良かったかな

ハァ ハァ

「っ」

でも でも

止まりたくない…!


「ぁ」

ドサ


公園の前に来た所で私は激しく転んだ。

起きなきゃ、走らなきゃ…!
会いに行かなきゃ!!



「豪快にコケたね
 大丈夫?
 本当君はどんくさいから」


電話の、声。
目の前に手が差し出される。

私はその手をとった。
暖かな手の平に懐かしさを覚える。


けど私は
その顔を、その表情を、



「ただいま」


貴方の温もりを知らない。




でも、これから知る。


これは
再会と呼べる出会いだ。


●○◎ 完 ◎○●

ストーリーメニュー

TOPTOPへ