好きで、好きで、好きで。
第1章 想い人
「おい操(みさお)。今日いい?」
操が後ろからかけられた声に振り返ると、けだるそうに優斗が立っていた。
「あ、優くん。いいよぉ~」
頷く操に、優斗はいつものように素っ気なく手をヒラヒラ振って自分の席に戻っていく。
鞄に教科書を詰めながら、操はフフっと一人で笑った。
「ちょっと~またぁ?二人まだ続いてんの?」
優斗と入れ替わりにそばに来た紗理奈が、不満げに唸る。
操はそんな彼女を気にも留めず、いつものようにマイペースに返していた。
「あ、ね~サリ、今日クレープ食べにいこぉ~?」
「無視かい。いいけど。でも優斗来るんでしょ?」
「部活終わってからだし、もし遅れても勝手に窓から入ってくるから大丈夫だよ~」
「不法侵入じゃんそれ!まぁならいいや。駅前のクレープ?」
「うん!今日は安い日だから~」
また楽しそうに笑う友人に、紗理奈はため息をつきながら苦笑した。