好きで、好きで、好きで。
第5章 未練と
その指の動きを見て、身体が熱くなるのを感じる。
(私…もう好きじゃないのに…なんで…)
ぐっと力を入れるようにして、頭からいやらしい考えを退けようとする。
そしてお茶を一口のんでため息をついた。
二宮はそんな彼女を横目に見ながら、自分もお茶を飲んで一息つく。
2人の間に静かな時間が流れた。
はじめに口を開いたのは紗理奈だった。
「…いつ別れたの?」
「二ヶ月前。」
「そう…」
二宮の相変わらずの態度に、自分が別れた時のことを思い出した。
「やっぱ紗理奈がいいって気づいてさ。まぁすぐに連絡するのもだし…わりと別れるのも苦労して。」
「…相変わらずね。」
紗理奈が呟くと、二宮が首を傾げた。
「相変わらず、勝手…」
涙が溢れてきそうになる。
二宮はそんな彼女を黙って見つめると、ティーカップを置いて立ち上がり隣に座った。
ぐいっと紗理奈の肩に手を回し引き寄せると、そのサラサラの髪の毛に鼻を押し付け息を吸い込む。