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エール

第1章 リーヴル

ひかれてしまったかもしれない...ていうか、絶対ひかれた!



和希君は未だ唖然としていて、私はいよいよ確信を得て愕然とする。



.........こんなときに我を忘れるなんて........。本気で馬鹿だよなぁ...。



自分の馬鹿さ加減に呆れながら、私はチラッと和希君の顔を伺う。



「高橋......。」



「はい......。」



次にどんな言葉を投げられるんだろうと思うと、身が竦んだ。



「あの.........」


「そんなに面白いんだな...。」



続く沈黙に耐えきれずに声をあげたが、それを遮るように和希君が呟く。



「ますます読みたくなった!どこにあるんだ?」



え..............................。


予想外の言葉に、私は驚く。



「ぅあぁ、えーと、シャーロックホームズのシリーズは...奥の方にあります...。案内しますね。」



「...頼む。」



やや上擦った声になってしまうのも仕方ないだろう。

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