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ノートにあったこの町…。

ここで私と"彼"は出会ったらしい。

一体誰なのか。

どんな人なのか。

私は全く記憶にない。

「何処にいるんだろ…」

"彼"を探して辺りを見回していると、

「璃奈!!」

後ろから私を呼ぶ声が聞こえた。

誰…？

振り返ると、そこには優しい感じの男の人が立っていた。

「璃奈…だよな？」

戸惑いながら頷いた私を見たその人は、

突如抱き締めてきた。

「きゃっ!?」

私は思わず体を離した。

「璃奈…？」

なんとなく聞き覚えのあるその声。

「璃奈…俺が分からないの？」

それを聞いて察した。

「尾崎翔太…さん？」

その人はゆっくりと頷いた。

この人が私とお付き合いしてた…。

「璃奈…もしかして俺を覚えてないの？」

私はゆっくりと頷いた。

「そっか…」

翔太は私を優しく抱き締めた。

私は事故に遭い、記憶を亡くした事を話した。

彼は何も言わずに抱き締めていてくれた。

心做しか泣いているようにも思えた。