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私の記憶

第2章 事故の記憶

再会から一週間。

彼は色んなところを案内してくれた。

私の好きだったという場所を…。

案内されても、私は何も思い出せなかった。

彼は私の手を握り、片時も話したくないかのようだった。

私は半ば引きずられるような感覚だった。



交差点に差し掛かり、私は軽い目眩を覚えた。

「…大丈夫?」

彼はそんな私に気が付き、声をかけてくれた。

「あっ、だ、大丈夫…です」

私はそそくさと交差点を渡り始めた。

その時。

キキーッ!!

車のブレーキ音が聞こえた。

と同時に、

「危ない!!」という声とともに後ろに引っ張られた。

「なにやってんだ危ないだろ!!」

車を運転していた男は罵声を浴びせていった。

「あっぶねぇ………璃奈?璃奈??」

私は呆然とその場に座り込んでいた。

彼はひたすら私を揺らしていた。

私は全てを思い出していたのだ。

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