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闇の王と光の騎士

第5章 破滅のはじまり

「風斬りッ!!」

剣と見せかけて霧里は魔術を撃つ。

「氷壁ッ!!」

まあやは素早く防御魔術を取る。

互いに手の内を知り尽くしているもの同士、腹の探り合いのような攻防になった。

「どうしたの、まあや。防戦一方? ブラッディ・マリアも牙が抜けたものね……」

霧里は地面を蹴って低い体勢でまあやに詰め寄った。

小さな体を逆手に取り、視界から逃れる作戦だ。

対応が遅れたまあやの隙を衝き、霧里の廻し蹴りが繰り出される。

「はっ!!」

しかしまあやはその蹴りを腕で受け止め、ガードする。

「どうしてもやらないといけないみたいね……」

まあやの顔から戸惑いが消えた。

鋭く、冷徹な表情。

その顔に霧里はゾクッと背筋に悪寒を走らせる。

アカデミー時代のブラッディ・マリアの殺戮の表情だった。

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