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闇の王と光の騎士

第5章 破滅のはじまり

洪水のような人混みのなか、月影もデビダクのコンサート会場に訪れていた。

もちろんコンサートを楽しむためではない。
人々の安全を守るためだ。

こういう人が集まる場所は襲撃の危険性が高い。

非常事態に備え、月影はここへやって来た。
とはいえ軍人でもなければ革命軍ですらない月影のために用意される席はない。

つまり月影は自力でデビダクのコンサートチケットを入手していた。

そんな涙ぐましい努力も名もなき正義の味方には必要だった。

「えーっと……席は……ここか?」

かなり後ろの方だが警備を当たるには全体が見渡せるしむしろ都合がいい。

「ちょっとすいません……」

混みあう中を掻き分けて席につく。

隣の席は銀髪のイケメンであった。
さすがの正義の味方もおとなりさんが獣化していない狼男だとは気づくはずもなかった。

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