♡*:。.rena's world story.。:*♡
第9章 ☆本当の気持ち
私が涙を堪えてそう告げると
「あ、でも、キスしたことは謝りませんよ♪」
波留くんは意地悪そうに笑った。
「彩さんを抱きしめたことも、僕のこの手がしっかり覚えてます」
「………!
は、波留く……!///」
「もちろん、彩さんは忘れてくださいね。
そして、またぜひ来てください。
チョコレート好きの大切なお客様を逃したら、僕、オーナーに怒られますから」
急激にドキドキと鳴り出す心臓。
きっと、私の顔は真っ赤だ。
波留くんはそんな私を見て、もう一度微笑むと
コックコートのポケットに手を入れて、お店の方向に足を向けた。
「さよなら、彩さん。
甘いケーキで、幸せな夜を」
お店の名前のように、甘い誘惑を仕掛けた
青い瞳の年下パティシエ。
天使のような彼の後ろ姿が、お店の中に消えていったのを確認すると
翔ちゃんの待つ並木道へと、走り出した。