テキストサイズ

♡*:。.rena's world story.。:*♡

第14章 ★叶わない願い

「……ヒメ……」




ここ最近覗かせていた、切ない表情でヒメが微笑んだから


言葉にできない想いが込み上げてきて、心が苦しくなる。


………今になって


ヒメがそう願う理由は………




「……戻るか。
とっくに1時過ぎてたな」




お昼の時間が過ぎて、いつのまにかほとんど人がいなくなっていた屋上。


ヒメは椅子から立ち上がると、コーヒーのカップを潰して歩き始めた。



その後ろ姿を見つめながら……


私の願いを聞いた後、17歳のヒメの呟いた言葉が


図書室の情景と共に、私の脳裏に鮮明に蘇ってきた。




『 恋をして、1番好きな人と一緒になれずに泣いた奴にも。

………いつかは

“ 他の誰か ” が現れて、救ってくれたりするんじゃねーの 』




「…………っ」




さっきまで心地良く感じていた風が急に強くなり、体を冷やしていく。


心臓が壊れたように鳴り続けて、胸騒ぎが治まらない。






………艶のある黒い髪と



どんな人でも惹きつける優しい微笑み



彼を知る人なら、ヒカルさんを一目見ただけで気付くだろう。







………蓮くんを



強く感じることに………


ストーリーメニュー

TOPTOPへ