テキストサイズ

♡*:。.rena's world story.。:*♡

第15章 ★5分の差

ヒカルがなぜか沈黙するので、コーヒーを飲み干すと


フロアから出てきた後輩が、俺を見つけて近付いてきた。




「鈴木さん、すみません……って電話中でしたか」

「いいよ、なに?」

「デスクの上で会社携帯鳴ってて。
多分シアトルから資金の件かと……」

「あぁ、すぐ行く」




携帯を耳にあてたまま立ち上がり、空になったカップを捨てる。


そういや、そもそも何のメールだったんだ?




「ヒカル、それで用件は……」

『蓮、今会社にいるの?』




俺の言葉を遮ってヒカルが聞いてきた。

その後ろから、風の音と車のクラクションが聞こえる。




「あぁ、そうだよ」

『5分だけ、時間くれない?』

「え?」

『仕事まだかかるでしょ?
ほんの少しでいいから』




大きく深呼吸をしたヒカルは、少し震えたような声で続けた。




『……今、あんたの本社ビルの目の前にいるんだ。

蓮に……伝えたいことがあるの』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ