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♡*:。.rena's world story.。:*♡

第15章 ★5分の差

.。.:* side ヒカル *:.。.。.:**:.。.。.:**:.。.。.:*



………痛い女だな。



各階から蛍光灯が漏れる、その高層ビルを下から見上げて


自分の行動を客観視しながら、改めてそう思った。


海外に行ってる方が多い蓮が、運良くこの本社の中にいたとしても


この申し出を拒否されたら、何もかも区切りをつけてきっぱり諦めよう。


………そう決意した心のどこかで、淡い願いを燻らせたままのあたしに




『なんだ。
来てるんだったら始めからそう言えよ』




日本最大の総合商社にいるその男は、驚きもせず


色気のある声でサラリと答えた。




『どこ?
メインエントランス?』

「……メイン……なのかな。
目の前に、おにぎりみたいなデカイ石がある」

『はははっ、それうちのモニュメントだから。
面白れ~な、相変わらず』




蓮が楽しそうに笑うから、緊張した体から少しだけ力が抜ける。


だけど、心臓はさっきからずっと鳴りっぱなしだ。




『あと10分待てる?
1件だけ電話済ませたらすぐ降りるよ』

「……うん、全然平気。
連絡もしないで、急に来たりしてごめ…」

『ヒカル、今寒い?』

「は?」

『暑い?』




なに、急に……

意味が分からない。

だけど、人生最大の正念場を迎えようとしてる、今の私は当然……




「暑い……かな」

『じゃあアイスコーヒー持ってく』

「………!」

『缶だけど。
なるべく急ぐから、待ってて』

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