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第16章 ★行かないで

………………………………………………



BARのある20階から、エレベーターで下に降りていく。


ガラスの向こうに滲む、流れる夜景。


さっきまで激しく打ち続けていた鼓動が嘘のように、ぼんやりとその光の粒を眺める。


美和が押してくれた背中に、まだその温もりが残っていて


それでも、体は凍るように冷えていた。




「………最低だな………」




………自分の言動に反吐が出る。



蓮の名前を出せば


美和が引き留められないことくらい、充分予測できたのに


俺に向けた精一杯の笑顔の裏で


どれだけの涙を流しているか、手に取るように分かっているのに




“ ヒメが行かなきゃって思ったなら
きっとそれが正しいのよね ”




………違う。



俺が今本当にすべきなのは


美和の傍にいて、抱きしめてやることだ。



………それなのに


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