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「………ほら、早く行け」




あたしをがっちり掴んだ方と、逆の手で


しっしと払うかのように、蓮はヒメに向かって手を振った。




「お前がいると

ヒカルが演じたままで、女に戻れないんだよ」


「…………！！」


「………バレンタインの仕返し。

後は美和に聞いてくれ」




こ、こ、この男……！///

マジでなんなの……！？



蓮は２人を見つめて満足そうに微笑んでいるけど、その横であたしはもう気絶寸前。


バレンタインってとこのくだりがよく分からないけど


心臓が破裂しそうで、胸が苦しくて、どうにかなってしまいそうだ。




「……………」




ヒメは無言のまま、しばらく蓮を睨んでいたけど


ふっと目を逸らすと、美和さんの手を引いてそのまま歩き出した。



………え！？

ちょ、ちょっと待て……！

無理無理！！




「……ヒ、ヒメ……！」




あたしは半ばパニックでヒメを呼び止める。


いや、あんた達２人はもちろん２人になるべきなんだけど


この状況で蓮と残されるなんて死んでしまう！



……つーか蓮！


あんたもさっきから人の腕を持ったままで……何考えてんのよ……っ




あたしが１人でバタバタしている反対側で


ヒメはピタッと足を止めた。