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第19章 ★幸せの花びら

「…………」



……相変わらず、綺麗に食べるなぁ……


箸で上手に魚の骨を取り除く、蓮の手先を見つめる。


そういや、こーいったところもヒメと似てるわ。


茶髪も黒髪も、男のくせにひとつひとつの仕草が上品なんだ。


女のあたしなんかよりもよっぽど……




「食えよ、冷めるぞ」

「………いただきます」




いつもみたいにがっつかず、ゆっくりと箸を入れる。


プリプリのカレイの身をパクっと食べると、口の中で甘みがじわ~っと広がった。




「………なにこれ、超旨い」

「だろ?」

「これこそおふくろの味だよ」

「あぁ、だからこんな夜中でも全部食えちまう」




冗談抜きで、この定食は本当に美味しいから


さっきまでのドキドキはどこへやら………あたしは夢中で食べ続けた。


そして


泣いて走った分、気力も体力も消耗していたからか


結局はいつもと同じペースでその定食を平らげてしまった。




「………いいね、ヒカル」

「………!」

「お前の食ってるとこ見てるだけで、なんか落ち着く」




気付いた時には、目の前で蓮があたしをじっと見ていて


その微笑みを見て、再び胸がドキンと高鳴ったけど


………満腹になったのもあり、あたしは穏やかな気持ちでその目を見つめ返すことができた。

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