♡*:。.rena's world story.。:*♡
第3章 ♥忠告
「人気が落ちたり故障するリスクがあるってのに。
どうしてあんな世界に夢を求めるか、不思議で仕方ないよ。
咲原もそう思うだろ?」
「………………」
私は何も言わないまま、ビールを口に含んだ。
……隼人と出逢う前の私だったら
きっと直樹君と同じ気持ちだったと思う。
だけど今は
その世界に生きる彼らによって、夢を見させてもらっている。
隼人とアンジーはもちろん、今まで知らなかったその業界に携わる多くの人達。
そのひとつひとつの力によって、あの輝く世界が作り上げられていて
私達に、夢と感動を与えてくれているんだ。
「咲原?」
直樹君が私の顔を覗き込む。
……考え方は、人それぞれだから。
ここで私が何かを反論すべきじゃない。
ただ
アンジーの事を思うと
堪らなく胸が苦しかった。
「なんだよ、気分でも悪いのか?」
「…ううん、大丈夫」
私は笑顔を作った。
アンジーは本当に素敵な人だから。
私が変わったように、きっと直樹君も気付く時がくるよね。
そう、願うしかない。