♡*:。.rena's world story.。:*♡
第5章 ♥ノックアウト
「………………」
私の予想と期待に反して
隼人は穏やかな表情のまま、ワインを飲み続けている。
オードブルを口に運んだり、時折綺麗な瞳を夜景に向けたり。
その姿に見惚れる一方で、私は高鳴り続ける鼓動を抑えるのに必死だった。
直樹君を一蹴し、優しい嘘でアンジーを救った極上のヒーローに、今すぐ抱きつきたい。
だけど、心臓がドキドキして、体が動かない。
……隼人、今何を考えてるのかな……?
ちゃんと忠告されてたのに、直樹君に触らせたりしたから、怒ってるかな……
私……あなたに触れてもいい……?
「由宇」
ハッと我に返る。
慌てて隼人の方を見ると
彼は、美しく切ない瞳で私を見つめていた。
「もっと、近くに来てくれない?」
「…………!」
「俺、こう見えて今
………結構弱ってる」