仰せのままに
第5章 お望みならば、喜んで
「今日は、楽しかったよ。」
人混みの中を、二人で歩きながら、
あの頃に戻ったように、笑い合う。
「17とか、もう結婚できんだ。」
「…本当だ。(笑)」
繋がれた手を、誇らしげに思いながら、
「あのさ、、、、」
「ん?」
言葉に詰まった、和の、
その視線の先を、見た。
「カレン…」
切なげに、彼女を見つめ、
目があった彼女は、
静かに涙を流していた。
「早く、行ってください。」
何でもないように、そう言った私は、
やっぱり、
『一人のメイド』
から、抜け出せなかった。
「ごめん…」
謝らないで、欲しかった。
無言で、立ち去ったら、
諦められたかも、知れない。