二人の未知〜X'mas短編
第1章 エピローグ
奈美は冷えきったトオルの身体を部屋に押し入れると暖房を入れ、手土産のプリンを冷蔵庫にしまう
「お茶入れる前にちょっと着替えるから待ってて」
奈美はそう言って寝室に行った
トオルは何度となく自分が泊まった部屋を眺める‥
自分のモノは一切置いてない‥
キレイさっぱり処分されていた‥
歯ブラシや男物のカミソリ‥
ちょっとは期待してたのに……
新しい一歩を踏み出した奈美と──
新しい一歩を踏み出した部屋………
なんだか切なさが込み上げてくる…
やり直したいのは俺だけ。
着替えを済ませコーヒーを入れてくれてる奈美の後ろ姿をトオルは見つめていた
「何かあった?」
コーヒーを差し出しながら奈美はトオルの顔を覗く
「ん‥‥ちょっとな‥」
トオルは自分を見つめる奈美を見つめ返す‥
思えばコイツの顔をこんなに見たのは初めてかもしれない‥
キレイな卵型の顔に、まつ毛も結構長い…
案外可愛い顔をしてたんだな……
「どうしたの? 大丈夫?」
「え!?
ああ‥うん、大丈夫」
奈美は自分を見つめたままのトオルに話しかけた