二人の未知〜X'mas短編
第1章 エピローグ
こんな娘は二股掛けちゃいけないな‥
彼氏はそう思っていた‥
なんとなく続いた関係を終わらせる“理由”が出来てしまった‥
「ごめんな‥」
別れを告げなから彼氏はなんとなく、何度も謝る
彼女はそれを笑顔で制した
「謝らなくていいって!
トオルから言ってくれなきゃたぶん、ずっとこのままだったと思うから…
中途半端なままよりは、全然いいよ! だから…トオルに本気になれる人が出来てよかったと思う…
あたし…たぶん、心のどっかでずっと願ってたんだと思う…
“トオルから別れを告げてくれますように”…ってさ……
だから…むしろ謝んなきゃいけないのはあたしの方なんだ…
ずっと‥
“なんとなくの関係”を
終わらせたかった──
だから、“ありがとう”
ふふ…これでお互い新しい一歩を踏み出せるね!」
「奈美‥」
そういって笑う奈美にトオルは胸の奥で何かがつっかえる‥
「そうか‥じゃあ…
お互い、踏み出そうな‥新しい一歩を」
「うん!」
笑顔の奈美にトオルは二年間使った合鍵を返した
「荷物は大事な物はないから全部処分して…」
「わかった‥」