二人の未知〜X'mas短編
第1章 エピローグ
トオルはその言葉を最後に奈美に背を向けた──
お互いに新しい一歩を…
二人はその言葉を胸に別々の道を歩き出す‥
なんの変わりもない…
最初から別々だった…
なのになんだろう‥
この、
胸にぽっかりと穴が空いた感じは?…
トオルは新しい彼女と付き合い始めた‥
今まで、奈美とはしてこなかったデートや恋人同士らしいことをする度に楽しいと思う‥
楽しいと思うのに‥
胸の奥の虚無感は拭えなかった
奈美と別れて三ヶ月が過ぎ新しい彼女も新しくはなくなった‥
彼女を抱いた後のベッドの中でトオルは考える
あの日、奈美の口から聞かされた言葉‥
“トオルから別れを告げてくれますように”──
なんだ‥ずっと願ってたのか‥‥‥
俺との別れを‥
あの日からずっと胸に引っかかっていた言葉…
トオルは奈美と別れてからずっと奈美のことを考えていた
別れてからもう三ヶ月‥
“新しい一歩”‥か
新しい彼氏もできたんだろか‥‥‥
──!ッ‥
なんか胸が痛い‥
新しい男が出来てたらどうしよう‥
そう思う自分がいる。