I'll be with you.
第13章 本当の自分
営業スマイルを振り撒く心君は、いつもの心君を知ってる私達からしたら、違和感しかない。
「SHINは初めてのTV出演ということで
どうですか?TVは!」
「緊張しますねー。
しかもこの番組……」
はぁ……と溜息をついた心君は司会者を鋭い眼光で睨み付けた後、ニッコリ笑ってみせた。
「この番組には絶対出たくなったですね☆」
……心君、絶対に機嫌悪い…
特にあの目……
絶対あの司会者のこと嫌いでしょ……
温厚な心君がこんなに毛嫌いする人がいることにビックリだよ……
「SHINと言えば!
やはり、有名なのがウェイターとしての実績!
いくつもの賞を総なめにして、
17歳という若さでベストウェイター賞を受賞!」
そう言って、大きなモニターに映し出された心君のウェイター姿と、とても長いコック帽子を被った人の写真
その姿に会場がまた歓声に包まれる。
「あぁ、これ俺ですね。
こんなのどっから引っ張ってきたんですかー?」
アハハーと笑う心君の目が全く笑ってない……
「心……相当機嫌悪いな……」
「そりゃあそうだろ……
きっと、勝手に写真公開されたんだ……」
誰から写真を手に入れてるのか疑問に思いながらもカメラがまわっている心君は表情を崩さない。
「SHIN、こちらのコックさんは……?」
司会者の質問に心君は迷いもなく答えた。
「俺の父さんです。
このレストランのオーナーシェフやってるんですよ」
……心君のお父さん、初めて見た…
すごくカッコイイ…
……けど、心君とは…
すると、司会者は不気味に笑い、挑発するような口調で話始めた。
「……このシェフとSHINは
全然似てないんですね……?」