I'll be with you.
第13章 本当の自分
minaは司会者を睨み付け、心君に絶対何も聞くなと言わんばかりの目で訴えた。
司会者はそんなminaに逆らえず、生放送なのに無言が続いた。
『……あの頃の心はまるで死人だったわ』
突然話し出したminaにカメラが一斉に集まった。
minaは何も話さない心君の代わりに過去を話し出した。
『日本からイギリスに来た理由が、暴力沙汰を起こして高校を退学になったからだもの……
周りの人達からの批判はそりゃあ酷いものだった。
今にも潰れそうなレストランで働かされて、顧客を集めに外へ出て……
お父さんの力になるためにウェイターとしての実績をあげて……
モデルになったのも心の意志じゃないわ。
心を批判してた人達が心を利用してお店をPRしたかっただけ。
やりたくないことまで強要されて、辛くないわけがないじゃないの。
……心はいつだって一人で家族と店を支えてきたの。
本当のお父さんと今のお父さんが作った店を心は必死で守ったの……
最高の息子じゃない……。
それなのに、血の繋がりがないだの言ってんじゃないわよ!!
こんな素敵な家族、他には絶対にいないわ……』
心君の2年間は
こんなにも残酷でこんなにも優しかった……
変わらない心君の優しさは大切なモノたちを守ったんだ……
『……心君らしいよ』
綺麗に見えていた心君の過去の栄光は
こんなにも擦り切れた過去の上に成り立っていた