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I'll be with you.

第15章 元カノ



奏斗は私の涙を拭うと、その手を私の頭に置いて優しく撫でた。



きっと、優さんにもそうしてきたんだ……



私を見る奏斗の目が見たこともないくらい優しい目だったから……






「……陽が笑ってくれたら


俺も笑えるような気がするんだ」






『……私?』





「そう、陽が」





どうして私なの……?






『……優さんに似てるから?』






今思えば、優さんと似ていなかったら心に見向きもしてもらえなかった……




優さんに似てる




ただ、それだけで私の人生は180°変わった。





ただの我がまま気ままの高飛車女がここまで改心して生まれ変われたんだもの……




心に出会えたことで、たくさんの感情を知り、初めて恋をした。




全部、優さんに似ていたおかげ。




そのことを憎んだこともあったけど、




こうして今、




こんなに綺麗なこころを持った人達に出会えた。




それは、これからも私の宝になるわ……





今回も同じように──────






「違うよ。


俺は陽に言ってるんだ。


優に似ているminaにじゃなくて、


星澤 陽に」







『……優さんに似ているから…じゃないの……?』






さっきまで流れていたものは消えて、奏斗は私に優しく微笑んでくれた。





「今、俺の目の前にいるのは陽だ。


優に似てるのは認めるよ。本当にそっくりだ。


だけどな、


さっき俺にくれた言葉は紛れもなく陽が俺にくれたモノだろ?


俺に元気をくれたのは……陽だ…」







奏斗は私を陽として見てくれた。




こんな人…………






初めてだった…………




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