I'll be with you.
第18章 偽り
ようやく落ち着いてきた私は、イスに座ってカナの無事を祈った。
『ねぇ、心君……』
「ん?」
『カナはいつからこの病気だったの?』
心君はカナがいるICUの扉を見て、目を瞑ると苦しそうに歯を食いしばった。
「……5年前に発覚したんだ。
中学の時の体育祭の選抜リレーで突然倒れたんだ…
カナからバトンをもらうはずだった俺の目の前でカナが胸を押さえて苦しそうに横たわってた……」
心君はカナが倒れた時、1番近くでカナを見てたんだ……
カナが今のように生死をさ迷ってる時もずっと……
『心君……』
「……だから、高校に入っても部活に入らなかったんだ」
『…カナは自分で足が亀並みに遅いって、
運動なんて大嫌いって……』
「そんなの嘘だよ。
カナはバドミントンやってて、推薦も貰えるくらい結果のこしてたんだ」
『……嘘…
ただのめんどくさがり屋だと思ってた……』
「言わないでくれって言われてたんだ……
優が心配するからって」
体育の授業だって真面目にやらないで歩いてばっかだった……
球技大会も走ってるところなんて見たことなかった……
理由を聞いても汗かきたくないって……
全部嘘だったの……?
『……でも…!!
一度だけカナが走ってたことがあった……』
「カナが走った……?」
『うん……。
私があの人に襲われてる時……ッ
カナが駆け付けてくれた……ッ』
あの時……
カナは一度も殴り返さなかった……
何度も蹴られて、殴られて……
それでもカナは一度も……っ
『そんな体で私を助けてくれたの…?』
……私何も知らなかった