I'll be with you.
第19章 責任と想い
『……本当に?』
「うん……」
『もうどこにも行かない……?』
「……うん」
帰ろうとして、ドアの方に向けられていた亜美の体はいつの間にか、俺と向き合っていた。
ゆっくりと近付いてくる亜美の体
俺の首に回された腕の感触と匂い。
『……カナくん大好き…』
耳元で聞こえた亜美の言葉は、
”カナくん”に向けられた。
《 奏斗!みーつけた!》
抱き締めた時の感触も、匂いも
全てが違った。
『……カナくん…』
近付いてくる亜美の顔
もう、何をされるか安易に予想できる距離に達した時
俺は目をぎゅっと瞑った。
《 奏斗 》
ずっと頭の中で俺を呼ぶ愛おしい人の声
『カナくん』
その声は、すぐにかき消され亜美のものが俺に触れた。
そして、なぜだか俺は
笑った。
《 奏斗、笑って 》
陽が笑ってって言ったから。