テキストサイズ

I'll be with you.

第4章 一夜…




「おい、優。

心のとこに行ってやれよ。

あいつ言わねーけど、この2年間大変な思いしてきたんじゃないか?」



……大変な思い?



ウェイターとして働いて



賞も取って、スカウトされて



誰もが知ってるくらい有名なモデルになって……



なにが不満があるの……?



ウェイターの仕事はお父さんの手伝いで強要されてたかもしれないけど、



モデルの仕事は心君が自分でやるって決めたはずでしょ……?




「心は昔からこうなんだよな」




カナは頭を掻きながら少しだけ怒っているような感じがした。




「心は俺らといる時は” 大人でいなきゃ ”って、思ってるところあると思うんだ。

俺らが頼りないのが悪いんだけどさ。

俺らには弱いところを一度も見せた事がない。

きっと見せられないんだ」






大切な人達の為なら何だってする優しい心君は、




きっと私と心君が出会う前からそうだったんだ。



出会った時の心君は小学生とは思えない程、大人びて見えたのを今でも覚えてる。




ずっと2人を守りたいって




みんなで仲良くしたいって




思えば思うほどに心君は自分の気持ちを無意識のうちに表に出せなくなったのかもしれない。





『……でも』







いつも私に向けられた、少年のような無邪気な笑顔。






その笑顔には嘘はないって信じてる。







『私行ってくるね』







その心君が本当の心君だってこと……

ストーリーメニュー

TOPTOPへ