I'll be with you.
第7章 約束の花火
空を眺めながらブランコに座っていた俺の頭に大きな手のぬくもりが伝わった。
「もう、自分のこと考えてもいいんだぞ」
さっき、未来に頭を撫でられた時と同じような
お兄ちゃんを演じなくていい
そんな立場からの解放感を感じた。
「カナが頑張ってくれたから
今の優がいて、今のコウがいるんだ。
俺がいない間、
アイツらを支えてきたのは
……カナ、お前だよ」
……そうか
心がいなくなったあの日から
心を頼れなくなった俺らは、当たり前がわかなくなったんだ。
心がいて当たり前
心が助けてくれて当たり前
当たり前が使えなくなった俺らは何もできないことにやっと気付いたんだ。
だからかな……
いつの間にか、自分でも気付かないうちに
俺がしっかりしなきゃって
俺がこいつらを守らなきゃって使命感を感じてた。
「カナのおかげで、あいつらは
道に迷いながらも自分たちの幸せを掴めた。
だから……もう大丈夫」
そう言って、頭を優しく撫でる心。
俺が俺を出せる唯一場所を見付けた。
「お疲れ様、奏斗」
お兄ちゃんとしての役目がやっと終わった。