テキストサイズ

I'll be with you.

第8章 約束の花火 2





” 別れよ”



あの言葉が優の本音じゃないことくらいわかってた。


俺だって優と別れたくなかった。


でも、あの言葉がなかったら


俺らは今でも苦しんでたと思う。


優を手放して、独りになってやっと……


優の為に俺がしてやれることに気付いたから。


お互いの為に別れた俺達の選択は決して無駄じゃなかった。


優と別れてからの2年間、カナのお母さんから聞く優やみんなの現状を聞くだけで幸せだった。


優の幸せが俺の幸せになってた。


優が幸せならそれでいいって


俺じゃない誰かでも構わないって思ってた。


思ってたはずなのに……


優が同じ大学にいることを知りながら会いにいかなかった俺。


きっと怖かったんだ。


離れてた時間が……


俺が知る筈がない優とみんなの時間が……




「……ごめんな」



だからこそ、コウの気持ちが痛いほどわかるんだ。




『……帰ってきてくれたから。

それだけでいいの。

ただ、帰りを待つことしかできない女の子の気持ちをわかってほしかったの……

みらいちゃんもきっと私と同じだから……』




「……」




なんでわかってやれなかったんだろ……



今頃になって、過去の自分に腹が立つ




「もう、絶対に置いていったりしない。

必ず2人で行こうな」




これからは、




そばにいるから



ストーリーメニュー

TOPTOPへ