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夜が明けても傍にいて。

第11章 嫉妬×嫉妬

---課長…?


私は…本物かどうか確かめたくて、課長に触れたくて手を伸ばした。


その手は課長に届く前にガシッと手首を掴まれた。
その体温でこれは夢なんかじゃないと思い知らされる。


「課長…どうしてここに?」


「石田から、連絡が来た。」


---幸太から?


「どうして?」


「どうしてだろうな、俺が聞きたいよ。」



いつもよりも低い声...
機嫌は良くないとわかってしまう。


---もう、私に会いたくないの?



私は身体をガバッ、と起こして課長に抱き付いた。


「課長…。」


課長の身体をぎゅーっと抱き締める。


「...。」


課長も無言で私の背中に手を回す。


どれだけ強く抱き締め合っても私の気持ちが満たされることはない。


「課長…お仕事は?」


「終わったよ…というか終わらせて来た。」



---私のために?


「私…迷惑掛けちゃったの?」



「---迷惑なんかじゃない…ただ、

お前は、自分に好意がある奴と二人で飲みに行って酔っ払って…犯されたいのか?」


--へ?


「石田だから良かったものの、他の男ならホテルに連れ込まれてるぞ。」

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