夜が明けても傍にいて。
第16章 泣いていた君
俺は本当に愛花のことを愛していた。
今の会社に入社して愛花に出逢った。
今まで見たこともないくらいに美人で仕事もバリバリこなし、
将来は自分で会社を経営したいという強い信念を持つ彼女に惚れるまで時間は掛からなかった。
付き合って一年半で婚約をして俺のマンションに愛花を呼んで二人の生活をスタートさせた。
俺は幸せだった。
愛花も幸せだろうと信じて疑わなかった。
出張に出ていた俺は一日早く帰れることになって愛花を驚かせようと連絡を入れずに帰った。
静かに玄関を開けるとそこには見慣れない男物の靴が置いてあった。
不思議に思ってリビングに入ると寝室から聞こえて来たんだ…。
愛花の艶かしい声とあの男の荒い息が。
俺は恐る恐る寝室のドアを開けた。
俺に気付かない二人は俺の前でその行為を続けていた。
俺は愛花からその男を引き剥がし殴りつけた。
顔を見てすぐにうちの会社で運営してる居酒屋のアルバイトだとわかった。
愛花は必死でその男を庇っていた…。
そして愛花は言ったんだ。
「私はこの人を愛してるの。」と…。